
『期待を超える満足』を追求し続ける、パティシエ出身料理長の挑戦
「できないことがあるのは、嫌なんです」と語る松永さん。その言葉の裏には、パティシエから料理長の道へ一歩踏み出した、ひたむきな覚悟がありました。社長への提案から始まった、マネジメントへの挑戦。試行錯誤を繰り返しながらも『有言実行』を貫き、理想のあり方を模索し続けています。そんな若きリーダーが抱く、等身大の情熱をお伺いしました。

パティシエとしての挑戦~人生の大切な一日に、唯一無二の彩りを~

—ウエディングケーキパンフレットに掲載されている『ベリル』は、入社1年目に携わったウエディングケーキだそうですね。
入社して間もない頃でしたが『自分を会社にアピールできるチャンスだ』と思い、制作に挑戦しました。宝石の原石を意味する『ベリル』のイメージを自分なりに解釈し、本社スタッフと対話を重ね、何度も試作品を作り直しました。そんな試行錯誤のなかで、ようやく辿り着いたのが今の形です。
—デザインや世界観で大切にしたポイントは何ですか?
自然な結晶の輝きを出すために、琥珀糖を手でちぎり、『本物の宝石』の質感を表現しました。一方で、ケーキ全体のコンセプトは『水』なんです。生クリームのなめらかな表情も、小川の流れをイメージしながら仕上げています。

—初めて『ベリル』をお客様からご注文いただいたときの心境を教えてください。
私たちが『良い』と思うものと、お客様が『選びたい』ものが一致するかどうか、そこには常に不安がつきまといます。実際に選んでいただいたことで、『ちゃんと需要があるんだ』と、ほっとしたのが本音です。
—ケーキはお客様の要望に合わせてアレンジできるのでしょうか?
もちろんです。ご提案するケーキは、あくまでベースであり、色・形・装飾に決まりはありません。プランナーを通じたヒアリングに加え、必要に応じて私たちが直接ご要望を伺い、『どんなケーキにできるか』をご提案します。結婚式という特別な日だからこそ、お客様の希望を形にすることに、妥協はしません。
料理長として向き合う『信頼』という課題

—『パティシエ出身の料理長』というキャリアをどのように捉えていますか?
料理一筋で歩んできた方に比べれば、引き出しが足りない面もあります。けれど、食事の最後を飾るデザートまで含め、コース料理全体を見られることは、強みだと考えています。
—料理長になろうと思ったきっかけを教えてください。
パティシエとして厨房に立つ傍ら、料理の業務にも関わるなかで見えてきた店舗環境の課題や働き方の改善点を、社長に直接お伝えしたんです。すると社長から「それなら、料理長としてやってみないか」と言われたことがきっかけです。『自分で言った以上は結果を出す』という覚悟で引き受けました。

—就任当初は、プレッシャーも大きかったのではないでしょうか?
最初は周囲の不安な視線も感じていました。信頼は肩書きでもらえるものではなく、日々の積み重ねで得られるものだと実感しました。この半年ほどで、困ったときに頼ってもらえる場面が増えてきたと感じています。
—実際に料理長として現場を率いるなかで、ご自身に変化はありましたか?
以前は『お客様のためを考え、料理が完璧ならば十分だ』と考えていました。今は、スタッフとの関係性を含め、現場の『空気』をより良い状態に導くことこそが料理長の本当の役割だと思っています。

—そのなかで、料理長として特に大切にされていることは何ですか?
人を育て、チームの力を最大化することです。高い技術を持つ仲間がお客様のために全力を尽くせる環境を整え、私がいなくても現場が安定して回る状態を築く。その積み重ねがお客様のご満足や信頼、実績につながると考えています。
料理と製菓の垣根を越えて~期待を超える満足を提供し続けるために~

—お客様との関わり方はどう変わりましたか?
お客様と直接お話しする機会が増えました。試食に来られた方や宴会の幹事様へのご挨拶を通して、お客様が求めていらっしゃることをより具体的に理解できるようになりました。

—現在は、どんなことに取り組んでいますか?
料理と製菓を融合した、新たな一皿の開発に挑戦しています。出汁を使ってジェラートを作ったり、乳を一切使わないチョコレートのデザートなど、これまでの経験を掛け合わせることで、新しい価値を生み出したいと考えています。
—これからの目標や、料理人としての姿勢を教えてください。
『期待を超える満足を提供したい』という想いは変わりません。料理人とは、常に『まだ、できていない』と思い続ける職業だと思うんです。先人たちと比べて自分の足りなさを知るからこそ、よりおいしいものを追求し続けたいです。
取材:田中 夏歩(リゾートディビジョン)
制作:豊場 佳乃子(営業戦略ディビジョン)










